ハーレーダビッドソン「スプリント440」正式発表 ―― 65年ぶりの名前を継ぐ、440ccの入門クルーザー
ハーレーダビッドソンが、2027年モデルの新型車「スプリント440」を発表しました。440ccの単気筒エンジン、シート高683mm、車両重量187kg。いまのハーレーダビッドソンのなかで、もっとも小さく、もっとも軽い一台です。9月にお伝えした「スプリント」が、ようやく姿を現しました。公式に分かったことと、まだ分かっていないことを整理します。

何が発表されたのか
スプリント440は、2026年11月はじめに発表され、イタリア・ミラノで11月5日から8日まで開かれる国際モーターサイクルショー「EICMA」で一般に公開されました。ハーレーダビッドソン ジャパンの公式サイトにも、すでに車種ページが掲載されています。
車名の「スプリント」は、新しい名前ではありません。公式サイトには次のように書かれています。
1961年に初めて登場したSprintは、ハーレーダビッドソンに新世代のライダーを迎え入れました
それから65年。同じ名前を、同じ役目のために使うということです。公式サイトの見出しは「どんな走りもJOYRIDEに」。誰が、どんな場面で乗っても楽しめるバイクとして作った、と説明しています。大排気量のツーリングモデルやソフテイルとは、はっきり違う位置に置かれた一台です。
9月の記事から、何が変わったか
当サイトでは9月7日に、「ハーレー史上いちばん安いモデル『スプリント』」という記事を出しました。そのときハーレーダビッドソンが公式に出していたのは、車体側面のシルエット1点だけ。スペックも価格も発売時期も、公表されていませんでした。
今回の発表で、次の点がはっきりしました。
- 車名は「スプリント440」。2027年モデルとして登場します
- エンジンは440ccの単気筒。9月の時点では、空冷か油冷かで報道が割れていました。発表を伝える報道では空油冷とされています
- 主要な諸元がすべて公表されました(下の表)
- 米国では5,999ドルからと報じられています。9月の記事で「当初は6,000ドル未満を掲げたが、その後1万ドル未満に置き直された」とお伝えした目標は、結果として当初の6,000ドル未満に収まった形です
なぜ今、小さなハーレーなのか
背景には、ハーレーダビッドソンが2026年5月5日に発表した戦略計画「Back to the Bricks」があります。この計画で同社は、二輪事業の立て直しと、販売店の収益を2026年に2倍、2029年にさらに2倍にするという目標を掲げました。同じ発表のなかで、スポーツスターを再び投入することも明記しています。
ハーレーダビッドソンの主力は、長く1,700ccから1,900cc台の大排気量車でした。価格も車格も大きく、乗り始めるまでの距離が遠いブランドだったと言えます。新しいお客様に来ていただかなければ、ブランドは先細りになります。スプリント440は、その入口を広げるための車です。1961年の初代スプリントが「新世代のライダーを迎え入れた」のと、同じ役目を担っています。
9月の記事では、空冷エボリューションのスポーツスターが2027年に復活し、883は1万ドル前後になるという報道もご紹介しました。報道どおりに進めば、いちばん手前にスプリント440、その上にスポーツスター、さらに上にソフテイルやツーリングという段を、ハーレーダビッドソンが一から組み直すことになります。小さな車で乗り始めた方が、何年かかけて大きな車へ乗り換えていく。そういう道筋を、ブランドの中に用意しようとしているのだと思います。スポーツスターの日本導入や価格については、まだ何も発表されていません。
主要諸元
ハーレーダビッドソン ジャパンの公式サイトに掲載されている数値です。
| エンジン | 440cc 単気筒 |
|---|---|
| ボア×ストローク | 79.6mm × 88.4mm |
| 圧縮比 | 9.65:1 |
| 燃料供給 | 電子シーケンシャルポートフュエルインジェクション(ESPFI) |
| 最高出力 | 27HP/20kW |
| 最大トルク | 38Nm/4,000rpm |
| 変速機 | 6速 |
| 車両重量 | 187kg |
| シート高 | 683mm |
| 全長×全幅 | 2,145mm × 815mm |
| ホイールベース | 1,450mm |
| 最低地上高 | 147mm |
| 燃料タンク容量 | 9L |
| 燃費 | 3.1L/100km(市街地・高速道路の予想値) |
| フロントフォーク | 43mm 倒立式カートリッジフォーク |
| リアショック | モノチューブ ピギーバック式コイルオーバー(プリロード7段階調整) |
| タイヤ(MRF) | 前 100/90-19/後 150/60ZR17 |
| ブレーキ | 前 2ピストン・シングルディスク/後 シングルピストン、ABS装備 |
| メーター | 89mm カラーTFTディスプレイ |
| 灯火類 | 前後ともLED |
| 電源 | USB-C |
変速機の段数は、公式サイトに1速から6速までのギア比が載っていることから記載しています。
数字から見える、この車の性格
まず目を引くのは、シート高の683mmです。足つきは、バイクを選ぶうえで多くの方が気にされる点です。ベース車と報じられているX440のシート高は約805mmと伝えられていましたから、同じ系統のエンジンを使いながら、座る位置をおよそ12cm下げた計算になります。9月の記事で「X440よりサブフレームを低くする」という報道をご紹介しましたが、その結果がこの数字だと考えられます。
車両重量は187kg。ハーレーダビッドソンの大排気量モデルと比べると、ずいぶん軽い数字です。取り回しや、駐車場での押し引きの負担は、かなり小さくなるはずです。
出力は27馬力、トルクは38Nmを4,000回転で発生します。数字だけを見れば控えめです。この車は速さを競うためのものではなく、街なかや郊外の道を、低い回転からの力で気持ちよく走るためのものと読めます。
燃費は100kmあたり3.1L(予想値)。リッターに直すと約32kmです。9Lのタンクを満タンにして単純に計算すると、およそ290km走れることになります。ただし、これは公表された予想値からの計算で、実際の燃費は走り方や道の状況で変わります。
足まわりは、前に43mmの倒立フォーク、後ろにピギーバック式のショック。タイヤは前19インチ、後ろ17インチです。ABSは標準装備で、メーターはカラーのTFT、灯火類は前後ともLED、スマートフォンの充電に使えるUSB-Cも付いています。入門向けの車であっても、装備は今の時代のものがそろっています。

スタイル
形は、ミッドコントロールで低く長く構えたクラシックなクルーザーです。燃料タンクはティアドロップ形で、大きく「HARLEY-DAVIDSON」のグラフィックが入り、タンクの上にメーターを収めたコンソールが組み込まれています。シートは後ろへ向かって絞り込まれたファストバック形の2人乗り。ホイールは前後とも、切削加工を施した黒の10本スポークのアルミキャストです。
ふたつの写真を見比べると、同じ車でも印象が大きく変わることが分かります。ティール色の車は小さなウインドシールドとサイドバッグを付けて街に、黒と赤の車は何も付けずに田舎道に置かれています。付ける用品で、街乗りにも旅にも寄せられるということでしょう。日本でどの用品が用意されるかは、まだ分かっていません。
価格と発売時期
日本での価格と発売時期は、まだ発表されていません。ハーレーダビッドソン ジャパンの車種ページは、価格について「最寄りの正規ディーラーまでお問い合わせください」としています。
海外では、次のように公表・報道されています。
| イギリス | 4,995ポンドから(ハーレーダビッドソン英国公式サイト) |
|---|---|
| アメリカ | 5,999ドルから、2027年春の発売と報道。最終組立はペンシルベニア州ヨークの工場と報道 |
| カナダ | 8,499カナダドルから(報道) |
海外の価格を為替で換算した金額が、ネット上で「日本価格」のように扱われているのを見かけます。ですが日本での価格は、輸送費や国内向けの仕様、税などで決まるもので、換算した金額がそのまま日本の価格になるわけではありません。発表を待ってください。
日本では大型二輪免許が必要です
ひとつ、日本ならではの注意があります。スプリント440の排気量は440cc。日本の普通二輪免許で乗れるのは400ccまでですから、スプリント440に乗るには大型二輪免許が必要です。
海外では、これから免許を取る人や、二輪を始めたばかりの人に向けた車として紹介されています。日本では事情が少し違い、いきなりこの車から始める、という形にはなりません。それでも、大型二輪免許を取ったばかりの方や、大きく重いハーレーに不安がある方、久しぶりにバイクに戻る方にとっては、ハーレーダビッドソンを選ぶ新しい入口になるはずです。
市場によって数値が違うところ
公式サイト同士を見比べると、国によって数値が違うところがあります。車両重量は日本のサイトが187kg、英国のサイトが189kg。圧縮比は日本が9.65:1、英国が9.81:1です。国ごとの仕様や、測り方の違いによるものかもしれませんが、理由は示されていません。この記事では日本の公式サイトの数値を使っています。
分かっていないこと
この記事を書いた時点で、次のことは日本向けに発表されていません。
- 日本での価格
- 日本での発売時期と、店頭に車両が並ぶ時期
- 日本で選べる車体色
- 日本で用意される純正用品
- 試乗車の用意があるかどうか
いずれも分かりしだい、あらためてお知らせします。
店舗でのご相談
スプリント440に関心をお持ちの方は、HARLEY-DAVIDSON OSAKAまたはHARLEY-DAVIDSON SUMAにお声がけください。日本での価格や時期が発表されしだい、ご案内いたします。現行モデルの在庫や試乗のご相談も承っています。
事実確認の記録
主要諸元、車名の由来、装備、日本での価格の扱いは、ハーレーダビッドソン ジャパン公式サイトのスプリント440の車種ページにもとづいています。英国の価格と、英国での車両重量・圧縮比は、ハーレーダビッドソン英国公式サイトにもとづいています。発表日、EICMAでの公開、米国とカナダの価格、米国での発売時期と組立工場、ヒーロー・モトコープとの協業、エンジンの冷却方式は、海外の専門媒体(Cycle News ほか)の報道にもとづくもので、ハーレーダビッドソンの発表文の原文は確認できていません。X440のシート高と、スポーツスターの復活と価格は、9月の記事で引用した報道の内容です。「Back to the Bricks」の内容は、ハーレーダビッドソンが2026年5月5日に公表した発表にもとづいています。燃費をリッターあたりに直した値と航続距離は、公表値からの当サイトの計算です。
※ 本記事は、ハーレーダビッドソンの公式サイトおよび各種報道をもとに構成しています(2026年11月5日時点)。日本での価格・発売時期は未発表です。
